8月3日ゼミの参考資料

【第2回評価ゼミ】
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■日時:2010年8月3日(火)19-21時 
■会場:Tokyo Artpoint Project Room 302(アーツ千代田3331内)
■講師:セゾン文化財団常務理事 片山正夫さん
■内容:「助成財団の評価」
助成金を出す側はどのような観点で評価をおこなっているのか。現場の実践と実情を学ぶ。
・19:00~20:15 片山さんレクチャー
・20:15~21:00 質疑・応答、ディスカッション
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以下、事前の参考資料です。

1)セゾン文化財団ニューズレター『viewpoint No.50』 P9~10
「viewpoint 第50号を迎えて」by片山さん
http://www.saison.or.jp/viewpoint/pdf/10-02/viewpoint-no.50.pdf(PDF:1380K)

2)セゾン文化財団の事業について(事業計画、アニュアルレポート)
http://www.saison.or.jp/awardees/index.html
※2006年のアニュアルレポートは20周年特別号です。
http://www.nettam.jp/blog/2007/11/onienoaioaoaa/
毎年のアニュアルの堤理事長コメント、片山さんのコメントを読むと時代背景がみえてきます。

「評価」といわないなら何と表現する?

第1回ゼミでは、付箋ワークショップ形式で「評価に関する4つの質問」をしました。
4つ目の質問は、「評価という言葉を使ってOK?評価と言わないなら何と表現する?」。
皆さんからは、下記のような意見が出ました。

・ 「達成度」
・ 使ってよい。「値踏み」
・ 「価値判断」
・ 言葉は使いたくない
・ 「観測」「測定」など、価値判断的にニュートラルな言葉か
・ Twitterにおける「ふぁぼり」みたいな言葉
・ 「確認」
・ 使ってもいい
・ 評価という言葉を使ってもよいと思うが、それ以外の言葉を使うとしたら「意味づけ」か?
・ 「達成したことは何か?」(「達成度」)
・ 使ってOK。「順位づけ」
・ 「かたちに残すこと」
・ 「見直し」「review」「点数をつける」
・ 目的によっていろいろな言葉でよいと思う。「レビュー“Review”」
・ 「振り返り」「Research」
・ 「レビュー」「振り返り」
・ 「評価」という言葉を使う領域と使わない領域を切り分けることが大切?
・ 使ってよい。「対話」「(指標)」
・ 「レポート」「報告」


どれも、なるほどです。
「評価」という言葉を巡る議論は、のちのゲスト講師をお招きするゼミでも
話題になると思いますので、引き続き考えていきたいと思います。


最後に、初回ゼミ内で、口頭でお伝えした私の付箋メモを、以下に書き留めます。

・ マーケティング
・ 検証
・ モニタリング
・ 振り返り
・ アセスメント
・ スクリーニング
・ 査定
・ 見積もり
・ マーキング
・ 検査
・ rating


活動をよりよくしていくための点検行為、過去の活動のチェックと課題の抽出行為、一定の基準に達しているかを確認する行為、多数の中から選択・選考する行為、そのために点数をつける行為、まだ見ぬ知らぬもの・人にたいしておおよそのあたりをつける行為、説得材料や客観的な説明材料をそろえるための行為……。評価ってマーケティングではないだろうかと考えたこともあります。

「評価」とひとことで言っても、実際に行う中味や目的は、かなり異なることを、今後のゲスト講師の評価事例からも確認していきたいと思います。


そういえば、「評価」の別の表現をいろいろ考えていて、
「評価」という言葉を英訳するときの難しさを思い出しました。
逆にevaluation、appraisal といった単語が同じ文章にあった場合、
日本語に訳す(訳し分ける)難しさも思い浮かべたりしました。


【若林】

初回ゼミの付箋WS

初回の評価ゼミでは「評価について4つの質問」への意見を
それぞれの受講生が付箋に書いて発表するワークショップが行われました。


以下はその成果をテキスト化したものです。

■ なぜ評価したいの?

・ なんで?と思うから
・ 伝えたいから
・ 後に続く人に実施したことからのフィードバックのリソースを提供したい
・ 地元の方々や税金を支払っている方々への説明責任を果たすため
・ 社会情勢的に求められているから
・ 税金を使って事業をしているから
・ やりっぱなしにしないため
・ 達成度を測り次の行動にいかすため
・ プロジェクトの達成度を確認すること
・ プロジェクトの向上や目標への接近を確かめたい
・ 税金を使ってアート振興をしたいから。
アートを社会に幅広く還元するシステムを構築したい
・ お金を出している人たち(経営者、行政・納税者、寄付者など)を説得するため
・ 事業を一環としておこないPDCAのCheckをおこなうため
→次のプロジェクトの改善につなげるため
・ みずからを客観視し、アート・マネージャーとしての立場を明らかにするため
・ 継続性の中で、正しい方向に改善していくため
・ 事業などの本質的な目標を確認するため
・ 運営資金の獲得のため
・ 関係者でプロジェクトの目標を共有するため
・ 興味のない人にも何らかの価値あるものと思ってもらうため
・ プロジェクトを継続するため
・ 投入する資源に見合う価値あるものを選ぶ
・ 目的にあった(適切な)ものを選ぶ
・ しないと、怒られるから
・ アートプロジェクトを運営側としてだけではなく
評価の視点から見ていくことでもっとよりよいものにしていきたいから
・ 「価値」を明らかにして、それを共有するため
・ 性格や特性に応じて区別するため
・ 他人と共有可能な言葉をつくることで共有不能なものの面白さも引き立つから
・ 認知度の向上→世界に与える影響を最大化するため
・ 自分たちのしていることを、自分たちの責任において評価することで、
社会に対して自らの役割を発信する力にする
・ 自分がプロジェクトをやる場合に、逆の“客観的”な基準を知ることで役立てたいため
・ アートに対して、どうこの時代、日本で評価するのか考えたい
・ 自分がいいと思ったものをどう表現すれば伝わる記号/言語
・ しないと活動の重要性が伝わらないから

■ 評価しないとどうなるの?

・ 成るようになる
・ 評価に手間取らなくてよい
・ 同じ間違いをする
・ 社会の中で「意味」を失う
・ アートが社会と交わらないまま「閉じて」しまう、
外部の人に知られなくなってしまう
・ 内輪で盛り上がって終わっちゃう
・ 感覚的な言葉、浅い判断、現在的な視点で判断される
・ 区分できない、始まらない
・ アーティストが食べていけなくなる
・ 資源投入の候補として順位がさがるもしくは外れる
・ 仕分けされる
・ 結果、次にお金が出なくなる
・ 注ぎ込んだ資源(カネ、モノ、ヒト)が有効に使われたか、
投資に見合った成果が出たのか不明なままになる
・ スタッフやお金の使い方が効率よくならない
・ お金がもらえない
・ 一度客観視しないと次の世代へプロジェクトの価値が受け継がれない
・ 外部への説明責任を果たせない
・ 助成金をもらえなくなる
・ プロジェクトの質(クオリティ)が下がる
・ 広がりがなく忘れられていく
・ 自分の立ち位置がわからなくなる
・ 自己満足、思い出作りで終わってしまう
・ なんとなく次のことをやってしまう
・ やりっぱなしになってしまい問題や改善点が明確にできない、
自己満足で終わってしまう
・ 存在しない、存在しなくなってしまう
・ 実務者とそうでない人の間に距離が生まれる
・ アピールポイントがよくわからなくなる
・ アーカイブされない、振り返る(考察の対象になる)ことがない
・ 事業の成果が明確にならない
・ よかった点、悪かった点を次へ活かすことができない、
継続する必要があるのか?
・ 次のステップ、改善点が見つけられない
・ アーカイブ化、共有化ができない
・ 記憶に残るが記録には残らない
・ 参加しなかった人にとっては無かったことになる
・ アートプロジェクトを行った意味が希薄化する


■ 評価で何を知りたい?

・ プロジェクトで、何が起こり、どんな(プラスの)影響を与えたか
・ やったことの意味、価値、社会的インパクト
・ 将来、その事業なりを行うことによって達成される目的を満たすために最適の方法
・ 存在価値
・ その存在価値
・ プロジェクトが実施された/される意味
・ いろんな意味でいろんな方々に必要だったのか
・ これまで何をやったのか(やったことの意義)
・ 多様性、開かれているか?
・ 計画との差異
・ 成果(予測も含めて)
・ 良い芸術作品や活動が実現されたかどうか
・ プロジェクトの設計者が、企画/運営によって
どんな風に世界を変容させようとしたのか、その文脈と、
やったことがその目的にどの程度かなったものだったのか
・ 目標とその結果
・ 次の展望があるか
・ 次へのチャレンジの可能性
・ 次につながる問題、改善点できれば良かったところも
・ 成果と何が期待されるか
・ 多数(少数)がどうとらえているか
・ それをやることの意義が多いか少ないか
・ ある機関、組織が何を大切にしているか、どんな傾向があるのか

■「評価」という言葉を使ってOK?「評価」と言わないなら何と表現する?

・ 達成度
・ 使ってよい、値踏み
・ 価値判断
・ 言葉は使いたくない
・ 「観測」とか「測定」とか?こういう価値判断的にニュートラルな言葉か
Twitterにおける「ふぁぼり」みたいな言葉
・ 確認
・ 使ってもいい
・ “評価”という言葉を使ってもよいと思うが、
もしそれ以外の言葉を使うとしたら「意味づけ」か?
・ 達成したことは何か?(達成度)
・ OK、順位づけ
・ かたちに残すこと
・ 見直し、review、点数をつける
・ 目的によっていろいろな言葉でよいと思いますが、レビュー“Review”
・ 振り返りもしくはResearch
・ レビュー、振り返り
・ 「評価」という言葉を使う領域と使わない領域を切り分けることが大切?
・ 使ってよい、対話(指標)
・ レポート、報告

付箋のテキストは、以上です。
評価の様々な側面が見えてきたのではないでしょうか。

他にも意見があれば、ぜひコメント欄への書き込んでみてください!!
受講生以外のみなさんからも大歓迎ですっ!!

次のステップはグルーピングです。
どんな方法があるでしょうか。
こちらのアイディアも募集中です!

7/13、第1回ゼミ開催

第1回評価ゼミを開催しました。
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■日時:2010年7月13日(火)19:00~21:00
■会場:Tokyo Artpoint Project Room 302(アーツ千代田3331内) 
■内容:オープニングレクチャー「評価について考える」
■配布資料:
・レジュメ
・SWOT分析シート
・『メセナnote59号』
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ゼミ生とオブザーバー、事務局あわせて25名ほどが参加。
初回でしたので、まずはゼミ生一人ひとりに自己紹介からスタートしました。
参加動機や評価について思うことなど話してくださり、これからが大変楽しみになりました。

プログラムの企画当初は、初回ゼミではSWOT分析のワークショップをやろうと考えていましたが、ゼミ申込時の熱心なエッセイを拝読し、皆さん評価について既にいろいろと考えていらっしゃることがわかりましたので、それを共有したいと思い、ワークショップの内容を変更。
評価に関する4つの質問について、考えを出し合う付箋ワークショップを行いました。

・なぜ評価したいの?
・評価しないとどうなるの?
・評価で何を知りたい? たったひとつのことしかわからないなら、何を知りたい?
・「評価」という言葉を使ってOK?「評価」といわないなら何と表現する?


後半は、評価の基礎情報(以下)について話をしました。
でもこれはあくまでも「たたき」。
ゼミ生の皆さんと、これから時間をかけて「たたき」を進化させたいと思っています。

1) 評価とは何か?
2) なぜアートプロジェクトに「評価」が必要なのか?
3) 「評価」から最大限の成果を得るために
4) 「評価」のサイクル
   ・アートプロジェクトの実施サイクル
   ・評価のサイクル
5) 指標の設定
   ・必ず考えるべき5項目 
   (参考:東京アートポイント計画の評価指標)


これから2月まで、ゼミ生の皆さんと、評価についてじっくり考えていきたいと思います。
よろしくお願いします。



【若林】

ゼミ応募課題

1) アートマネジメント総合情報サイト「ネットTAM」に掲載されている「芸術文化助成入門」(全4回)を読み、「評価」についての自分の考えを論じてください。(A4一枚程度。書式・字数は自由)

2) Tokyo Art Research Lab連続ゼミに参加しようと思った理由と、受講後の抱負を記述してください。(A4用紙1枚程度・書式、字数は自由)