「文化庁文化芸術創造都市モデル事業」、神戸地域は「評価ツアー」開催

第1回ゼミで平成22年度文化庁文化芸術創造都市モデル事業の話をしました(リンク集にも掲載)。評価を行うことも採択の条件になっているという、文化庁助成の中では珍しい事業です。
モデル事業に採択された案件のうち、神戸地域では「事業評価ツアーin Kobe」を開催しているとのこと。以下、メーリングリストに投稿された情報を、参考までに転記します。

参加者を募って、プロジェクト内容を丁寧に説明し、「事業評価ツアー」という仕立てにしていくのはなかなかユニーク。どのような内容になるのか、知りたいですね。
他のモデル事業地域はどのような評価を行っているのでしょうか。それも知りたいです。


【以下、転記】
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Subject: [cpnet-info][03162] 文化芸術創造都市モデル事業評価ツアーin Kobe のご案内
神戸大の藤野です。
お世話になっております。
文化庁文化芸術創造都市モデル事業の第三回評価ツアーを行います。
アートの魅力満載ですので、ぜひお越しください。
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第3回神戸創庫おもしろくし隊 参加募集!
みなとまち神戸の近代化の歴史を物語る「旧神戸生糸検査所」は、「デザイン都市・神戸」のシンボルとなる‘創造と交流’の拠点として「(仮称)デザイン・クリエイティブセンターKOBE」に生まれ変わる予定です。現在、多様な提供事業が行われるなか、本年度文化芸術創造都市モデル事業に採択され、新たな事業を展開しています。今後、旧神戸生糸検査所(神戸創庫)がより創造的な場となるために、ご意見、ご提案をいただく、第3回評価観考「神戸創庫おもしろくし隊」の参加者を募集します。今回の評価事業は神戸デザインの日記念事業「神戸+デザイン」です。みなさんの新しい視点と愛情ある評価で、神戸創庫とデザインによる地域創造の新たな可能性を発見してください!
日時 10月17日(日)14:30~16:30(予定)
スケジュール 14:30     旧神戸生糸検査所 入口集合 このちらしを持ってお待ちしています
14:30~15:00 神戸創庫おもしろくし隊の説明、提供事業の紹介
15:00~   「神戸+デザイン」事業 視察・評価@カフェ

神戸+デザイン=?
2008年10月16日に、神戸市はユネスコより「デザイン都市」としての認定を受けました。この記念すべき日を「KOBEデザインの日」として、毎年、記念イベントを実施しています。今年のテーマは、「デザインが地域社会でできること」です! 詳細はhttp://kobeplusdesign.jp にアクセスしてくださいね。
□デザインにふれよう
■世界を変えるデザイン展in KOBE・・さまざまな課題を解決してきたプロダクトやプロジェクトの紹介
◆アワード受賞作品展・・ユネスコ・デザイン都市共同CODE ポスターデザインコンペティション優秀作品展など
■「Exit to Safety-デザインにできること」展・・デザインの視点から安全の出口を探す展覧会
□デザインで遊ぼう
■ソーシャル”かえっこ”ビレッジ・・楽しいおもちゃの交換会!15:30からオークションもあります
□デザインを考えよう
■GLOCAL NEIGHBORHOOD MEETING in KOBE・・八潮まちなみづくり100年運動・プロジェクト展2010

当日、旧神戸生糸検査所ではたくさんの提供事業も行われています。お時間のあるかぎり見学していただき、印象に残った提供事業も自由にコメントして下さいね!
◆陶芸家 佐藤千重 展覧会 [新館4階]
◆江里口暁子 写真展 [新館1階北玄関]
◆nami kanrei with candle therapy・・ロウソク作りワークショップ[新館4階]

問合せ先:神戸市企画調整局デザイン都市推進室(担当:松添) TEL 078-322-6573  E-mail koji_matsuzoe@office.city.kobe.lg.jp
主催:CPS thru Arts 実行委員会[NPO法人DANCE BOX・神戸大学・神戸市ほか]

10/12、第4回ゼミ開催

だいぶ秋らしくなってきた10月12日、第4回目の評価ゼミを開催しました。
ゲスト講師は、総務省行政評価局の柴沼雄一朗さんです。

























今回柴沼さんに講師をお願いしたきっかけは、昨年企業メセナ協議会で海外の講師を招いた評価ワークショップを開催した際、ある参加者の方に、「海外の事例を知るのも大事だけれど、日本でも国が丁寧に評価の研究とシステムづくりを行っていますよ。調べてみたらいかがですか」と教えていただいたことにさかのぼります。

調べてみると確かに、日本の政府も想像していた以上に、評価の決まりごとや方針を詳細に設けていることが見えてきました。その担当部局が、柴沼さんご所属の総務省行政評価局。
国立美術館や国際交流基金などアート関係の機関も多数ある「独立行政法人」の評価を行っているのもこちらだとわかりました。
国は、どのように事業を評価しているのか?どのようなガイドラインを設けて政策の評価をすすめているのか?――事業仕分けの記憶もまだ新しいなか、「アートプロジェクトの評価」を考えるにあたっては、国の評価の取り組みの概要を把握しておくことも必要ではないかと思いいたりました。そこで、まったくコンタクトもなかったのですが総務省行政評価局にレクチャーをお願いしたところ、講師をご快諾くださいました。

柴沼さんは、「アートプロジェクトの評価に直接、すぐに役立つわけではないかもしれませんが、話の中から何か参考になる点を見つけていただけたらと思います」と、レクチャーを始められました。
本ゼミとしても、アート以外の領域での取り組みから、あらゆる分野の評価に共通する基本的な項目あるいは課題を把握することで、アート独自の評価のポイントをあぶりだせたらと願っています。

レクチャーの内容は、ゼミ生がレポートしてくださいますが、まずは開催概要の記録まで。


【第4回評価ゼミ】
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■日時:2010年10月12日(火)19-21時 
■会場:Tokyo Artpoint Project Room 302(アーツ千代田3331内)
■講師:総務省行政評価局政策評価官室 総括評価監視調査官 柴沼雄一朗さん
■内容:「行政の政策評価」
国は政策評価について。取り組みの概要や国の政策評価の標準モデル、各種ガイドライン等を学ぶ。
・19:00~20:00 柴沼さんレクチャー
・20:00~21:00 質疑・応答、ディスカッション
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■講師プロフィール
柴沼雄一朗 (しばぬま ゆういちろう) 
総務省行政評価局 政策評価官室 総括評価監視調査官
平成7年、総務庁(当時)に入庁。人事・恩給局(公務員制度改革、人事評価の試行)、統計局(統計関連業務の民間開放の検討)、行政評価局総務課(行政評価機能の抜本的強化方策の検討)などを経て現職。


■配布資料
•「国の政策評価制度の紹介」(総務省行政評価局 柴沼雄一朗)

(セルフリサーチ資料)
•『中之条ビエンナーレ2009 公式ガイドブック』http://nakanojo-biennale.com/   
•中之条ビエンナーレ 評価関係資料
•『メセナnote62号』―「アートプロジェクトのための経済波及効果検証」(企業メセナ協議会、2009年)
•『地域創造』―連載:文化政策の行政評価[第1回~4回] (地域創造vol.22・23・24・25、2007~2009)


■参考文献・資料
•「総務省 行政評価局パンフレット」(2010年)
•総務省行政評価局 「政策評価よくあるご質問(FAQ)」http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/hyouka/kyotsu_n/faq.html  
•総務省 政策評価の総合窓口 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/hyouka/seisaku_n/index.html  
•総務省 行政評価局(コンテンツ案内)http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/hyouka/kyotsu_n/saitomap.html  



【若林】

研究会2|議事メモ

第2回TARL評価ゼミ研究会
日時:2010年10月4日(月)19時-
場所:小金井アートスポット シャトー2F
内容:
1)前回の議論の振り返り
2)事例報告『つなぐNPO 山梨県立博物館の通信簿』
3)ディスカッション


以下は、ディスカッションの話題を中心にまとめています。

■ 報告書を読んで
・(一般的な評価の) コンセプトから導き出すというよりは、逆の方法をとっているのではないか。
・ 観客の育成になっているのではないか(教育的な項目)。全部回答したら、いい博物館になるのか。万人向けの博物館はできるだろうが、突出した部分が削られるかもしれない。
・ そもそも(評価に)コンセプトやアイデンティティづくりから市民が関わっていけるのか。
・ 市民は色んなレイヤーがあるし、モチベーションも違うけど、任意に汲み取ることで説明ができてしまうのではないか。
・ 博物館の行政評価と市民評価も総体を評価する材料として使えるのではないか。ただそれがお互いに対応している項目になっているのか、またはその情報を同じ議論のテーブルにつなぐ人がいたのか。
・ 外部の第3者機関は専門家と市民の評価をあわせたものになるのか。
・ 誰が評価の材料を集めて、分析をして、評価をするのか。

■ 評価と説明責任
・ 評価をやらなければいけない空気=説明責任。
・ 評価は「ネガティブな面を見つめて、直してほしい」ということがスタートなのではないか。
・ ポジティブなものを育てる仕組みになっていないのではないか。
・ 公的資金が投入された時点で、説明責任が生まれるのではないか。
・ ある程度の説明責任をクリアしたら、面白いことをやればいいのではないか。
・ 有名美術館が上手くいっているのは、集客と経営が上手くいっているからではないか。その間は市民から不満が出てこない。説明責任はそれほど問題にならない。ただし(その説明の基準が)下降線をたどったときにどうなるか。説明責任のデフレスパイラル。

■ 「面白いこと」を育てる評価〜アートプロジェクトの時間
・ 本当の意味でポジティブなものを育てる評価が「面白いこと」を評価するものであれば、それはないのかもしれない。
・ いまは「面白い」ということが経営的な視点から説明されているのでは。人がいっぱい入った=面白かった結果になっている。 面白さを実現するための手段の調整になっている。
・ 面白いものが増えてくるような評価のありかたはあるのか。現状ならば「いかに上手く説明するか」はできるのではないか。枠組みを問うような評価はありうるのか(そもそも必要なのか)。
・ いま有効である仕組み=「人が来た」という説明、が言えなくなるような状況を予見できるのであれば、変えなければいけないかもしれない。
・ 人は少ないけど、面白いことがある。こっちをプッシュできるような評価のあり方はあるのだろうか。
・ 初年度は駄目なのかも知れないけど、次年度以降も続けていけるか、も重要か。
・ マジョリティーの価値観ではないもの。
・「タモリ倶楽部」的なものはないだろうか。でも、 マイノリティーをとってマジョリティー化している?
・ すべてのアートプロジェクトに同じような評価軸をつくろうということに無理があるのではないか。
・ 妻有は一回目にがつがつ評価をいれなかったから成功したのでは。 瀬戸内はその練習があったから出来た。 評価にさらされなかった最後のアートプロジェクトなのでは。
・ 地域と言われたことで評価の時間軸は変わったのではないか。 単年度ではなく「時間のかかること」という考え方が浸透してきたのでは

■ 評価とイノベーション
・ 評価がマーケティングにつながっていないのではないか。重なるけれど、評価のほうが、射程が広いのではないか。マーケティングより意思決定の上位にある(影響する)のではないか。
・ マーケティングはブレイクスルーやイノベーションは生まれない。イノベーションは評価に組みこめないのか(だから面白いものが生まれないのか)。
・ 予想できない状況をつくるのが一番面白い状況。それをどうつくるのか、を考える材料になりうるのか。
・ イノベーティブなヴィジョンを生み出す、とすれば第一回がイノベーションなのではないか。
・ イノベーションをどう組みこむのか。イノベーションを生まれてくるような方法。
・ イノベーションを継続的な成功体験にしていく評価。やり方自体もイノベーションが必要だけど、発想そのもののイノベーションが生まれるようなことがありえるのか。
・ 社会的な投資としてのアートプロジェクト。

■ 成長させる戦略的な評価
・ 防衛的ではなく、成長させる戦略的な評価。
・ 個々でクリエイティブな評価体制をそこでつくっていけるか。
・ 予測不可能なものを組みこむ評価ならば、何でもありになってしまうのでは。
・ システムとしてはとらえどころのないものになってしまう。
・ 組織の目的によって方法を変えていくという意味でクリエイティブ。
・ 成長させる戦略的な評価は外に出さなくてもいいのではないか
・ プロジェクトにクリエイティビティがあるかどうか、なのか。
・ つまんないことを説明しようとしたら、(プロジェクトとして)次の段階にはいっていくのでは。地を這うように生まれたプロジェクトと戦略的な評価→ステイクホルダーが増えると防衛的な評価を組み合わせていく。
・ アートプロジェクトはどんどんステイクホルダーが増える。説明する対象が増えていって、自分で自分の首をしめてしまう。現実的に広げていかざるをえない形式なのではないか。
・ 防衛的な蓄積は出てきている。いかに使いこなせるかの現状。実は使いこなせば使いこなせるほどつまらなくなる。でも、使えば使うほどお金がとれてしまうとか。
・ 既存の評価軸におさまらないところへお金が流れていく仕組みをつくるには。
・ ポジティブで攻撃的な評価とは何か。

■ 評価対象の枠組み
・ プロジェクトのフレームと中身の問題。フレームは企画の組み方、それが作品評価とも密接に関係してくるのではないか。
・ アートプロジェクトが出てきたことで、評価の対象の枠組みが広がったのではないか。
・ 分けて考えることは古いといえるかもしれないが、それに合った何かがまだ出来ていない。
・ 批評の課題でもあり、ポジティブな評価の課題でもある。そこに踏み込むことで、その領域が見えてくるのではないか。
・ 地域を軸に考えると、評価をする人が同化してしまう。アートプロジェクト=みんなを内輪にしてしまうもの。もしかしたら、「第3者」がいい、という視点も変わっていくのかもしれない。
・ 客観性をもっているか、が、共有できる説明の言葉をもっているかどうか、に。
・ 万人に独自のことをやっているなと分かるような評価。実は「評価はされている」ということもあるのでは。評価と呼ばれていないものを評価と呼んでみる方法もあるか。

■ 「アート」ではない問題
・ 「アート」の問題ではないことが、沢山あるのではないのか
・ ベースとなるような一般的なものができれば解決する問題もあるのでは

■ 今後のこと
・ 具体例がなさすぎて、話す材料がない
・ 防衛的な評価を検証していっても外堀を埋めて終わるのではないか
・ やっている人を呼んでディスカッションをするとか
・ ひとつのケースで、防衛的と攻撃的なあり方を2つ出すのはどうか
・ 材料として何をやるのか

10/12 第4回ゼミの参考資料 (事前連絡)

いつのまにか金木犀がほのかに香る季節になりました。
猛暑を予感させる暑い日に始まったTARL評価ゼミも、早いもので今月で折り返しです。

以下、第4回の参考資料です。
事前に目を通しておいていただくと、当日の理解が深まりそうです。
おそらくアート関係の講座で国の行政評価について話を聞く機会は初めて(orかなり久しぶり)ではないかと思います。
ゲスト講師の柴沼さんとの事前打合わせでは、「細かな評価手法に関しては国より地方自治体の方が進んでいたりするんですよ」との、興味深いお話もありました。
ゼミ生の皆さん、どうぞお楽しみに!

サブゼミ「研究会」も順調に開催中。今週10/5(火)[すみません、10/4(月)でした]19時から。トピックは「ミュージアムの通信簿」(つなぐNPO)です。


【第4回評価ゼミ】
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■日時:2010年10月12日(火)19-21時 
■会場:Tokyo Artpoint Project Room 302(アーツ千代田3331内)
■講師:総務省行政評価局政策評価官室 総括評価監視調査官 柴沼雄一朗さん
■内容:「行政の政策評価」
国の評価システムは?地方自治体の方が進んでいる?!―行政の政策評価制度の概要、各種ガイドライン等を学びます。
・19:00~20:15 柴沼さんレクチャー
・20:15~21:00 質疑・応答、ディスカッション
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以下、事前の参考資料です。
1)総務省行政評価局 「政策評価よくあるご質問(FAQ)」
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/hyouka/kyotsu_n/faq.html

2)総務省 政策評価の総合窓口 
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/hyouka/seisaku_n/index.html

3)総務省 行政評価局(コンテンツ案内)
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/hyouka/kyotsu_n/saitomap.html


※セルフリサーチ用資料は以下を配布します。
・『中之条ビエンナーレ2009 公式ガイドブック』http://nakanojo-biennale.com/
・中之条ビエンナーレ 評価関係資料
・『メセナnote62号』―「アートプロジェクトのための経済波及効果検証」(企業メセナ協議会、2009年)
・『地域創造』―連載:文化政策の行政評価[第1回~4回] (地域創造vol.22232425、2007~2009)


【若林】