【第3回評価ゼミ】
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■日時:2010年9月14日(火)19-21時
■会場:Tokyo Artpoint Project Room 302(アーツ千代田3331内)
■講師:アサヒビール芸術文化財団事務局長 加藤種男さん
■内容:「企業メセナの評価」
企業の社会貢献活動・メセナ活動の評価について。現場の実践と実情を学びます。
・19:00~20:15 加藤さんレクチャー
・20:15~21:00 質疑・応答、ディスカッション
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以下、事前の参考資料です。
1)アサヒビールの文化・社会貢献活動
http://www.asahibeer.co.jp/csr/soc/index.html
2)アサヒ・アート・フェスティバル
http://www.asahi-artfes.net/
※その他、当日配布資料多数あります。
※セルフリサーチ用資料は以下を配布します。
・『ミュージアムの通信簿:山梨県立博物館の通信簿』 (資料提供:つなぐNPO)
http://www2a.biglobe.ne.jp/~yamaiku/pj/eva.htm
【若林】
研究会1|議事メモ
第1回TARL評価ゼミ研究会
日時:2010年9月1日(水)18時-
場所:小金井アートスポット シャトー2F
内容:
1)研究会の趣旨説明
2)事例報告『2008 鳥の演劇祭 評価報告書』
3)ディスカッション
以下は、ディスカッションの話題を中心にまとめています。
■ 評価報告書を読んで
・どういうアンケートだったのかを知りたい。
・県広報は、新聞折り込みで換算できるのか?計量できない効果は?
・いつもこのような調査・換算のしかたは、どこか附に落ちない感じがする。
・どうにか数値を出したいということでは。「費用が回収できた」といわなければならないので、ある意味かけになってくる。
・運営側と外部評価側の意思の共有がはかれているのではないか。
・評価をする人たちとうまく意思の疎通をはかっていることが、評価を成功させるひとつの方法ではないか。
・評価事業のコストは?→費用と実施メンバー
・どのようなフィードバックがなされたのか?誰に読まれているのか?
・今後の変化をどのようにとらえていくのか?次回の報告書で変化を追っていくことができるのか?経年変化を追えるようになっているか?
・元データを出していかないと、他の人たちの分析や引き継ぎに対応できない。
■ アンケートの手法1
・満足度をとったうえで、記述式で「どこがよくなかったのか」などをとらないと、次の改善につながっていかないいのでは。
・「なにが不満だったのか」を聞くようなアンケートにしていかないと、次につながらない。
・「不満だった」とだけ聞いても改善ができないので、「なにが不満だったのか」を聞くことで、2度おいしいアンケートになるのでは。
・満足度を数値で表現するとフィードバックを得やすくなるが、記述式が多ければ多いほど回収率が低くなるという問題がある。
・アンケートと違う手法で聞く、という方法もある。アンケートで「不満だ」と答えた人に、ヒアリングにいくなど。ただしこの方法だと数はこなせない。どういうものが一番ほしい情報かによって、聞く方法が違ってくる。
・全町民ではなく、100人~200人のグループを抽出して、その人に聞きにいく、という方法のほうが良かったのではないか。今回の結果では、「劇場にいった人」「アンケートに答えた町民」「アンケートに答えなかった町民」という3つの層にわかれてしまっている。
・小さなコミュニティだから全町民アンケートが実現されているが、逆にいかない人が「ハブ」みたいな扱いになってしまっている危険性もあるのでは。
・なぜ、「作業検討部会」があったのかを聞きたい。なぜ第1回目の前に「作業検討部会」を組織して、評価まで組み込んでやろうと思ったのか。
■ 評価の対象は誰か〜誰による、誰のための評価か
・評価がでたときに、誰がその責任者になるのか?評価の依頼者は、その評価の報告書にはなにもコメントを残さないものなのか?
・もしやるのであれば、評価者の意図がまとまって残っていくのが良いのではないか。
・この評価報告書が誰に読まれているのか、というのはけっこう重要。それについても、どうだったのかを聞きたい。劇団員はこの評価報告書をどう思っているのか?誰のための評価なのか?
■ 満足度と達成度
・ブログで、評価報告書を読んだ人のコメントがあって、「「満足度」ではなく「達成度」をはかるべきではないか」と書いてあった。確かに、指標を設定してその成果を見るのであれば「達成度」である。
・アンケートをとっただけだと「満足度」しかとれないのではないか。なにをもって「達成」したと考えたかという尺度をもうけないと、アンケートの結果を「達成度」に結びつけることができない。
・評価の結果をどのような目標に結びつけていくかという問題がある。「次は「満足度」の高い人を、これだけ増やす」というような目標を設定していかないといけないのでは。
・「プロセス評価を重視する企業が増えている」という記事を新聞でみた。「達成度評価」だと低い目標を設定して、低い目標を達成する社員が増えてきてしまうらしい。
・達成度重視、結果重視にしてしまうとそういう問題は生じてしまう。そこをうまくいかせる必要がある。
・目標はもっと前向きなものがよい。それが評価から入ってしまうと、途端に、低い目標になってしまう。例)「4割っていうと厳しいから、2割にしておこう」など。
■ 評価の幅と比較対象
・それは時間の幅の問題なのか?全体としての運営の評価でみないとはかることができない。目標をトータルで達成できたかどうかという「幅」の問題もあるし、1年ではなく、3年・5年という時間的な「幅」の問題もある。
・「幅」という問題はある。1つの目標に向かっていくにしても、「今年度はここに力を入れる」というようなやりかたもある。そうであるとすれば「評価のための評価」というやりかたが必要になってくるのでは。
・数字をどう表現していくか、ということが評価の報告書づくりでは大切になってくる。
・「似た他人」を設定する、というけれど、そういうものはないのではないか。ある程度、基準となるベースを設定していかないと、それぞれの事業体が好きな「似た他人」を選んでいってしまう。
・片山さんは、「過去の自分」を推奨していた感じだった。アートプロジェクトの場合、個別性が強く「似た他人」を探しにくいので、「過去の自分」を基準とするべきではという感じだったと思う。
・「似た他人」というのはなにを選ぶかはとても大きい。すぐ「他と比べてどうなの?」という質問をうけることが多い。
・基準=スタンダードをつくる、というと「全国標準学力検査」みたいになってしまうのではないか。
・全体としてなんとなく共有されている基準のようなものはある気がする。
・業界勢力図のような、全体のマトリックスがわかるようなものが最初にあればよいのでは。
・ある種、図にはしたくないけれど、図にはすべきものがあるようなぼんやりとしたイメージはある気がする。
・「高さ」とかではなく、「公立/民間」「大きい/小さい」という客観的なものが基準になっていくのか?
・質の問題もある。シアターであれば「アングラ系」「明るいコンテンポラリーダンス」など、それぞれによって、あるべきシアターのイメージは違ってくる。
・ある程度、「自己評価」をしたうえで、第三者に方向性についてアドバイスをもらうというような仕組みが必要なのでは?そうすると、「似た他人」を選ぶのは、「自分」?
■ アンケートの手法2
・アンケートに答えてくれる人は、プラス評価の人が多いのでは。
・どうやってマイナスの意見を拾うのかは、もっと考えたほうがよいのでは。
・アンケートだけでなく、mixi、twitterなど、複数のチャンネルを持つというのは、ひとつの解決策では。
・ハッキリ失敗したプログラムは、ハッキリ悪い結果があがってくる。
・悪かったときは、けっこう悪いことをアンケートに書いてくる。
・「不満な点はありますか」と聞くとかえってこないが、「改善する点はありますか」と聞くと、けっこう書いてくれる。
■ 報告書の対象は誰か〜どう伝えるか
・誰にむけてつくっている評価報告書なのか?
・①伝えたい内容だけをまとめたものと、②ガッツリしたデータと分析をまとめたものがあればよいのではないか。例)(財)地域創造の「これからの美術館のありかたについて」報告書
・今はどこもそうなっている。特に企業では「1枚にまとめて」といわれることも多い。
・「報告書」というかたちをとらなくてもよいのでは。発表してディスカッションする機会をもうけたりとか、そのようなことのほうが意味をもってくるのかもしれない。
・「誰に伝えるか」という問題がけっこう大切なのではないか。
■ 今後のこと
・他の評価報告書も読んでみたい。
・同じように小さい市と大学が組んでアンケートを実施したところとして、「中之条ビエンナーレ」はどうか。その報告書がまとまっているのであれば、それを取り寄せてみてみるのはどうか。
・「中之条ビエンナーレ」は文化庁の創造都市部門で賞をとっていて、比較的、町をあげて活動をやっているプロジェクト。
日時:2010年9月1日(水)18時-
場所:小金井アートスポット シャトー2F
内容:
1)研究会の趣旨説明
2)事例報告『2008 鳥の演劇祭 評価報告書』
3)ディスカッション
![]() |
以下は、ディスカッションの話題を中心にまとめています。
■ 評価報告書を読んで
・どういうアンケートだったのかを知りたい。
・県広報は、新聞折り込みで換算できるのか?計量できない効果は?
・いつもこのような調査・換算のしかたは、どこか附に落ちない感じがする。
・どうにか数値を出したいということでは。「費用が回収できた」といわなければならないので、ある意味かけになってくる。
・運営側と外部評価側の意思の共有がはかれているのではないか。
・評価をする人たちとうまく意思の疎通をはかっていることが、評価を成功させるひとつの方法ではないか。
・評価事業のコストは?→費用と実施メンバー
・どのようなフィードバックがなされたのか?誰に読まれているのか?
・今後の変化をどのようにとらえていくのか?次回の報告書で変化を追っていくことができるのか?経年変化を追えるようになっているか?
・元データを出していかないと、他の人たちの分析や引き継ぎに対応できない。
■ アンケートの手法1
・満足度をとったうえで、記述式で「どこがよくなかったのか」などをとらないと、次の改善につながっていかないいのでは。
・「なにが不満だったのか」を聞くようなアンケートにしていかないと、次につながらない。
・「不満だった」とだけ聞いても改善ができないので、「なにが不満だったのか」を聞くことで、2度おいしいアンケートになるのでは。
・満足度を数値で表現するとフィードバックを得やすくなるが、記述式が多ければ多いほど回収率が低くなるという問題がある。
・アンケートと違う手法で聞く、という方法もある。アンケートで「不満だ」と答えた人に、ヒアリングにいくなど。ただしこの方法だと数はこなせない。どういうものが一番ほしい情報かによって、聞く方法が違ってくる。
・全町民ではなく、100人~200人のグループを抽出して、その人に聞きにいく、という方法のほうが良かったのではないか。今回の結果では、「劇場にいった人」「アンケートに答えた町民」「アンケートに答えなかった町民」という3つの層にわかれてしまっている。
・小さなコミュニティだから全町民アンケートが実現されているが、逆にいかない人が「ハブ」みたいな扱いになってしまっている危険性もあるのでは。
・なぜ、「作業検討部会」があったのかを聞きたい。なぜ第1回目の前に「作業検討部会」を組織して、評価まで組み込んでやろうと思ったのか。
■ 評価の対象は誰か〜誰による、誰のための評価か
・評価がでたときに、誰がその責任者になるのか?評価の依頼者は、その評価の報告書にはなにもコメントを残さないものなのか?
・もしやるのであれば、評価者の意図がまとまって残っていくのが良いのではないか。
・この評価報告書が誰に読まれているのか、というのはけっこう重要。それについても、どうだったのかを聞きたい。劇団員はこの評価報告書をどう思っているのか?誰のための評価なのか?
■ 満足度と達成度
・ブログで、評価報告書を読んだ人のコメントがあって、「「満足度」ではなく「達成度」をはかるべきではないか」と書いてあった。確かに、指標を設定してその成果を見るのであれば「達成度」である。
・アンケートをとっただけだと「満足度」しかとれないのではないか。なにをもって「達成」したと考えたかという尺度をもうけないと、アンケートの結果を「達成度」に結びつけることができない。
・評価の結果をどのような目標に結びつけていくかという問題がある。「次は「満足度」の高い人を、これだけ増やす」というような目標を設定していかないといけないのでは。
・「プロセス評価を重視する企業が増えている」という記事を新聞でみた。「達成度評価」だと低い目標を設定して、低い目標を達成する社員が増えてきてしまうらしい。
・達成度重視、結果重視にしてしまうとそういう問題は生じてしまう。そこをうまくいかせる必要がある。
・目標はもっと前向きなものがよい。それが評価から入ってしまうと、途端に、低い目標になってしまう。例)「4割っていうと厳しいから、2割にしておこう」など。
■ 評価の幅と比較対象
・それは時間の幅の問題なのか?全体としての運営の評価でみないとはかることができない。目標をトータルで達成できたかどうかという「幅」の問題もあるし、1年ではなく、3年・5年という時間的な「幅」の問題もある。
・「幅」という問題はある。1つの目標に向かっていくにしても、「今年度はここに力を入れる」というようなやりかたもある。そうであるとすれば「評価のための評価」というやりかたが必要になってくるのでは。
・数字をどう表現していくか、ということが評価の報告書づくりでは大切になってくる。
・「似た他人」を設定する、というけれど、そういうものはないのではないか。ある程度、基準となるベースを設定していかないと、それぞれの事業体が好きな「似た他人」を選んでいってしまう。
・片山さんは、「過去の自分」を推奨していた感じだった。アートプロジェクトの場合、個別性が強く「似た他人」を探しにくいので、「過去の自分」を基準とするべきではという感じだったと思う。
・「似た他人」というのはなにを選ぶかはとても大きい。すぐ「他と比べてどうなの?」という質問をうけることが多い。
・基準=スタンダードをつくる、というと「全国標準学力検査」みたいになってしまうのではないか。
・全体としてなんとなく共有されている基準のようなものはある気がする。
・業界勢力図のような、全体のマトリックスがわかるようなものが最初にあればよいのでは。
・ある種、図にはしたくないけれど、図にはすべきものがあるようなぼんやりとしたイメージはある気がする。
・「高さ」とかではなく、「公立/民間」「大きい/小さい」という客観的なものが基準になっていくのか?
・質の問題もある。シアターであれば「アングラ系」「明るいコンテンポラリーダンス」など、それぞれによって、あるべきシアターのイメージは違ってくる。
・ある程度、「自己評価」をしたうえで、第三者に方向性についてアドバイスをもらうというような仕組みが必要なのでは?そうすると、「似た他人」を選ぶのは、「自分」?
■ アンケートの手法2
・アンケートに答えてくれる人は、プラス評価の人が多いのでは。
・どうやってマイナスの意見を拾うのかは、もっと考えたほうがよいのでは。
・アンケートだけでなく、mixi、twitterなど、複数のチャンネルを持つというのは、ひとつの解決策では。
・ハッキリ失敗したプログラムは、ハッキリ悪い結果があがってくる。
・悪かったときは、けっこう悪いことをアンケートに書いてくる。
・「不満な点はありますか」と聞くとかえってこないが、「改善する点はありますか」と聞くと、けっこう書いてくれる。
■ 報告書の対象は誰か〜どう伝えるか
・誰にむけてつくっている評価報告書なのか?
・①伝えたい内容だけをまとめたものと、②ガッツリしたデータと分析をまとめたものがあればよいのではないか。例)(財)地域創造の「これからの美術館のありかたについて」報告書
・今はどこもそうなっている。特に企業では「1枚にまとめて」といわれることも多い。
・「報告書」というかたちをとらなくてもよいのでは。発表してディスカッションする機会をもうけたりとか、そのようなことのほうが意味をもってくるのかもしれない。
・「誰に伝えるか」という問題がけっこう大切なのではないか。
■ 今後のこと
・他の評価報告書も読んでみたい。
・同じように小さい市と大学が組んでアンケートを実施したところとして、「中之条ビエンナーレ」はどうか。その報告書がまとまっているのであれば、それを取り寄せてみてみるのはどうか。
・「中之条ビエンナーレ」は文化庁の創造都市部門で賞をとっていて、比較的、町をあげて活動をやっているプロジェクト。
NPOトリトン・アーツ・ネットワークは評価事業の実施を定款でさだめている
第1回ゼミで取り上げたNPO法人トリトン・アーツ・ネットワーク (TAN)の定款。NPOとして行う事業の中に、「評価事業」も入っています。めずらしいです。

評価事業を定款に定めるだけでなく、きちんと評価委員会を開催し、評価事業報告書も作成・発行しています。TANの評価事業は、評価の方法を模索した第1期から、試行錯誤も経て(これが大事)、現在は第3期に入っています。
【若林】

評価事業を定款に定めるだけでなく、きちんと評価委員会を開催し、評価事業報告書も作成・発行しています。TANの評価事業は、評価の方法を模索した第1期から、試行錯誤も経て(これが大事)、現在は第3期に入っています。
【若林】
レポート|第2回「助成財団の評価」
神野裕史(ラボ生)
セゾン文化財団の片山正夫さんを迎えての評価ゼミ第二回。夏の暑さもあってか(?)、和やかでざっくばらんな雰囲気の中、進められました。あくまで足取りは軽やかでありながら、評価の本質に迫る気付きでいっぱいの2時間でしたので、皆さんともこのブログという場をお借りして、是非、共有させていただければと思います。
I:片山さんのお話の内容
評価とは?
助成財団が評価するのは、芸術ではなく芸術のプログラム(プロジェクト、助成行為)である。評価とは広い意味を持つが、ここではシステマティックな評価を意味する。
評価の目的とは?
助成財団が評価を行う目的は、①「改善するため」と②「説明するため」。
①「改善するため」
非営利事業であり、投資の成果が金銭的なリターンという形で表れない。そのため積極的に評価を行わないと次回の助成活動を改善することが出来ない。
② 「説明するため」
経営者である理事、また一般社会を代表する評議員に対しての説明責任を果たさなければならない。また、公益法人として税制優遇を受けており、直接的には主務官庁(文化庁→内閣府)に、また広くは社会に対して説明を行う必要がある。
助成財団にとって評価の在り方は?
助成財団が社会に果たす役割を完遂できるよう、評価も適した形で実施する。
① 助成財団とは?
政府とは異なる「公」の担い手である。政府は企業や市民からの税が支出のもとであり、様々な利害関係者皆の納得を得なければならない。予算の分配も様々な分野(福祉、教育etc)との兼ね合いで行われる。助成財団は資金源が別なので、新しいことを世に問うていきやすい上、芸術支援を目的とする助成財団はその資源全てをその目的に駆使することが可能である。
例えば、セゾン文化財団は個人の財産を財団化し、その資金運用益を助成に活用している。助成金額自体は行政の文化政策予算等に比べれば小さいが、その助成額の何倍の効果が生まれると考えられる。マイケル・ポーターは、助成にはその助成金の金額分の効果だけでなく、①他の助成主体に「この助成先は優良」というメッセージを出すシグナル効果、②ネットワークを構築による、ヒトと知識の側面からの支援効果、③セクター全体の知識・技術水準を向上させる効果もあると述べている。
② 助成財団の目的達成に適った評価とは?
a) 助成活動を行う過程で以下のような評価の仕組みが導入された。
b) 以下のような点に注意している。
c) 評価を積み重ねた経験から得た学び
II. 感想
芸術分野でこそありませんが、財団法人で働く職員のひとりとして、お話を聞いてとても興味深く感じました。片山さんは謙遜も含めて、「ノルマがないので安易に流れることも」と仰っていましたが、収益で測られないからこその大変さもあるのが、財団という世界だと思います。
財団2年目の青二才が言うのも失礼な話ですが、組織運営上、お金が入ることよりも出ていくことに厳しいのは当たり前。当然、支出に対しては成果が期待されます。お金を出すからには、その結果がどうだったのかは少なくとも経営陣に(自主財源以外の財源があるのであれば出資元にも)説明しなければならないのは営利企業と変わりません。
そして、この財団にとって経営陣に当たる方々(理事・評議員)ですが、各界の著名人が務めることが多いかと思います。広い見識と知見をもちつつも現場には必ずしも詳しくない方々です。そのような方々にどう事業の意義や成果を伝えるかが財団職員の手腕の見せ所であり、難所のひとつなのでしょう。
評価という手法は彼らとのコミュニケーションを円滑にする便利なツールだなと感じました。評価と聞くと、評価のアウトプットのひとつである評価報告書を想像してしまっていましたが、事業の開始前から始まっているというお話を聞いて目からうろこが落ちる思いでした。プログラムの設計時から評価者を参加させること(例:彼らに評価の仕組みを提案し、評価指標の合意をとりつけるなど)で、最終的な成果の評価に対して納得も得やすくなるのだと、自分の仕事と照らし合わせて腑に落ちました。もちろん評価は客観性が担保されていなければならないのでしょうが、その実施と活用は戦略的に行えるものなのですね!
→ 開催記録はこちら
セゾン文化財団の片山正夫さんを迎えての評価ゼミ第二回。夏の暑さもあってか(?)、和やかでざっくばらんな雰囲気の中、進められました。あくまで足取りは軽やかでありながら、評価の本質に迫る気付きでいっぱいの2時間でしたので、皆さんともこのブログという場をお借りして、是非、共有させていただければと思います。
I:片山さんのお話の内容
評価とは?
助成財団が評価するのは、芸術ではなく芸術のプログラム(プロジェクト、助成行為)である。評価とは広い意味を持つが、ここではシステマティックな評価を意味する。
評価の目的とは?
助成財団が評価を行う目的は、①「改善するため」と②「説明するため」。
①「改善するため」
非営利事業であり、投資の成果が金銭的なリターンという形で表れない。そのため積極的に評価を行わないと次回の助成活動を改善することが出来ない。
② 「説明するため」
経営者である理事、また一般社会を代表する評議員に対しての説明責任を果たさなければならない。また、公益法人として税制優遇を受けており、直接的には主務官庁(文化庁→内閣府)に、また広くは社会に対して説明を行う必要がある。
助成財団にとって評価の在り方は?
助成財団が社会に果たす役割を完遂できるよう、評価も適した形で実施する。
① 助成財団とは?
政府とは異なる「公」の担い手である。政府は企業や市民からの税が支出のもとであり、様々な利害関係者皆の納得を得なければならない。予算の分配も様々な分野(福祉、教育etc)との兼ね合いで行われる。助成財団は資金源が別なので、新しいことを世に問うていきやすい上、芸術支援を目的とする助成財団はその資源全てをその目的に駆使することが可能である。
例えば、セゾン文化財団は個人の財産を財団化し、その資金運用益を助成に活用している。助成金額自体は行政の文化政策予算等に比べれば小さいが、その助成額の何倍の効果が生まれると考えられる。マイケル・ポーターは、助成にはその助成金の金額分の効果だけでなく、①他の助成主体に「この助成先は優良」というメッセージを出すシグナル効果、②ネットワークを構築による、ヒトと知識の側面からの支援効果、③セクター全体の知識・技術水準を向上させる効果もあると述べている。
② 助成財団の目的達成に適った評価とは?
a) 助成活動を行う過程で以下のような評価の仕組みが導入された。
i)Goal Free Evaluation
作品単品ではなくアーティスト個人への支援を行う際に、支援することが被支援者の可能性を狭めては本末転倒である。①良い作品を生み出す、②活動のグレードアップがされるのであれば、後は個別のアーティストの問題であり、彼ら自身が向かう方向を決めるべきだ。そのため、評価は緩い枠組みで実施し、すぐには結果を求めず、結論を出さない。
ii) エピソード評価
客観的評価だけでは心がささくれてくる。ストーリーみたいなものがないと評価の聞き手の心が動かない。良い助成プログラムは良いエピソードにあふれているので、そのエピソードも評価の際に考慮に入れる。
b) 以下のような点に注意している。
i)評価のタイミング
事前・期中・事後と評価を行えるタイミングはさまざまである。事後評価もプログラム直後なのか、追跡調査なのかによって性質が異なる。
ii)評価の客観性
主観と客観は二律背反ではない。一枚のアンケートは主観的だが、枚数を集めれば客観的になる。
評価の客観性を担保するのは比較対象性。比較可能なのは「よく似た他人か過去の自分」。類似のプロジェクトがあるとは限らないので、助成前後での比較は重要である。
iii)新規性
皆がプログラムの結果に納得するものが良いものとは限らない。皆が賛成する安全パイは果たして助成財団が助成する必要がないのかもしれない
c) 評価を積み重ねた経験から得た学び
i)事後評価の指標は予め決めておくこと
ii)評価者を評価指標の設定時から関与させること
ⅲ)評価期間に幅を持たせておくこと
※ 評価期間が短いと過去の自分と評価できない
II. 感想
芸術分野でこそありませんが、財団法人で働く職員のひとりとして、お話を聞いてとても興味深く感じました。片山さんは謙遜も含めて、「ノルマがないので安易に流れることも」と仰っていましたが、収益で測られないからこその大変さもあるのが、財団という世界だと思います。
財団2年目の青二才が言うのも失礼な話ですが、組織運営上、お金が入ることよりも出ていくことに厳しいのは当たり前。当然、支出に対しては成果が期待されます。お金を出すからには、その結果がどうだったのかは少なくとも経営陣に(自主財源以外の財源があるのであれば出資元にも)説明しなければならないのは営利企業と変わりません。
そして、この財団にとって経営陣に当たる方々(理事・評議員)ですが、各界の著名人が務めることが多いかと思います。広い見識と知見をもちつつも現場には必ずしも詳しくない方々です。そのような方々にどう事業の意義や成果を伝えるかが財団職員の手腕の見せ所であり、難所のひとつなのでしょう。
評価という手法は彼らとのコミュニケーションを円滑にする便利なツールだなと感じました。評価と聞くと、評価のアウトプットのひとつである評価報告書を想像してしまっていましたが、事業の開始前から始まっているというお話を聞いて目からうろこが落ちる思いでした。プログラムの設計時から評価者を参加させること(例:彼らに評価の仕組みを提案し、評価指標の合意をとりつけるなど)で、最終的な成果の評価に対して納得も得やすくなるのだと、自分の仕事と照らし合わせて腑に落ちました。もちろん評価は客観性が担保されていなければならないのでしょうが、その実施と活用は戦略的に行えるものなのですね!
→ 開催記録はこちら
8/3、第2回ゼミ開催
8/3、2回目のゼミを開催しました。
今月はお盆休みもあるのでイレギュラーに第1週目の火曜日開催でした。
猛暑の中、講師に来てくださったのは、公益財団法人セゾン文化財団の片山正夫さんです。
日本の誇る“政策提言型”芸術助成財団であるセゾン文化財団の評価指針についてうかがいたかったこと、片山さんは下記プロフィールにあるとおり、早くから非営利組織のプログラム評価を研究されてきたこと、そしてエピソードに注目する定性評価も早くから提唱されていたことから、今回ぜひにと講師をお願いしました。
レクチャーの内容は、ゼミ生がレポートしてくださいますので、まずは開催報告まで!
【第2回評価ゼミ】
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■日時:2010年8月3日(火)19-21時
■会場:Tokyo Artpoint Project Room 302(アーツ千代田3331内)
■ゲスト講師:セゾン文化財団常務理事 片山正夫さん
■内容:「助成財団の評価」
助成金を出す側はどのような観点で評価をおこなっているのか。現場の実践と実情を学ぶ。
・19:00~20:30 片山さんレクチャー
・20:30~21:00 質疑・応答、ディスカッション
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■講師プロフィール
片山正夫 (かたやま まさお) 公益財団法人セゾン文化財団常務理事
1958年兵庫県生まれ。一橋大学法学部卒業後、(株)西武百貨店文化事業部を経て89年(財)セゾン文化財団事務局長に就任。2003年より常務理事。94~95年、米国ジョンズホプキンス大学公共政策研究所シニアフェローとして、非営利組織のプログラム評価を研究。東京藝術大学、慶應義塾大学(大学院)、学習院女子大学での非常勤講師のほか、(公財)公益法人協会、(公財)助成財団センター、アートネットワークジャパン理事、市民社会創造ファンド運営委員、東京都芸術文化評議会専門委員、国際交流基金「評価に関する有識者委員会」委員、トーキョーワンダーサイト運営諮問委員、(学)国立学園監事等を務める。公益法人協会では法制委員会委員長として公益法人の法制・税制に関する提言活動を行っている。著書に『NPO基礎講座』『プログラム・オフィサー』『民間助成イノベーション』(いずれも共著)等。
■配布資料
•レジュメ「助成財団の評価」
•公益財団法人セゾン文化財団について
•「viewpoint第50号を迎えて」片山正夫(『viewpoint第50号』、セゾン文化財団、2007)
※ゼミ配布:セルフリサーチ資料
•『2008 鳥の演劇祭 評価報告書』(2009、NPO法人鳥の劇場/鳥取大学地域学部附属芸術文化センター)
•『2008 鳥の演劇祭 活動報告書』(2009、NPO法人鳥の劇場)
■参考文献・資料
•『財団法人セゾン文化財団2006年度事業報告書』(セゾン文化財団、2007)
•『プログラム・オフィサー~助成金配分と社会的価値の創出』(牧田東一編著、発行:編集工房 球、発売:学陽書房、2007)
•『民間助成イノベーションー制度改革後の助成財団のビジョンー』(助成財団センター編、発行:助成財団センター、発売:松籟社、2007)

片山さん直筆の「評価」
【若林】
今月はお盆休みもあるのでイレギュラーに第1週目の火曜日開催でした。
猛暑の中、講師に来てくださったのは、公益財団法人セゾン文化財団の片山正夫さんです。
レクチャーの内容は、ゼミ生がレポートしてくださいますので、まずは開催報告まで!
【第2回評価ゼミ】
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■日時:2010年8月3日(火)19-21時
■会場:Tokyo Artpoint Project Room 302(アーツ千代田3331内)
■ゲスト講師:セゾン文化財団常務理事 片山正夫さん
■内容:「助成財団の評価」
助成金を出す側はどのような観点で評価をおこなっているのか。現場の実践と実情を学ぶ。
・19:00~20:30 片山さんレクチャー
・20:30~21:00 質疑・応答、ディスカッション
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■講師プロフィール
片山正夫 (かたやま まさお) 公益財団法人セゾン文化財団常務理事
1958年兵庫県生まれ。一橋大学法学部卒業後、(株)西武百貨店文化事業部を経て89年(財)セゾン文化財団事務局長に就任。2003年より常務理事。94~95年、米国ジョンズホプキンス大学公共政策研究所シニアフェローとして、非営利組織のプログラム評価を研究。東京藝術大学、慶應義塾大学(大学院)、学習院女子大学での非常勤講師のほか、(公財)公益法人協会、(公財)助成財団センター、アートネットワークジャパン理事、市民社会創造ファンド運営委員、東京都芸術文化評議会専門委員、国際交流基金「評価に関する有識者委員会」委員、トーキョーワンダーサイト運営諮問委員、(学)国立学園監事等を務める。公益法人協会では法制委員会委員長として公益法人の法制・税制に関する提言活動を行っている。著書に『NPO基礎講座』『プログラム・オフィサー』『民間助成イノベーション』(いずれも共著)等。
■配布資料
•レジュメ「助成財団の評価」
•公益財団法人セゾン文化財団について
•「viewpoint第50号を迎えて」片山正夫(『viewpoint第50号』、セゾン文化財団、2007)
※ゼミ配布:セルフリサーチ資料
•『2008 鳥の演劇祭 評価報告書』(2009、NPO法人鳥の劇場/鳥取大学地域学部附属芸術文化センター)
•『2008 鳥の演劇祭 活動報告書』(2009、NPO法人鳥の劇場)
■参考文献・資料
•『財団法人セゾン文化財団2006年度事業報告書』(セゾン文化財団、2007)
•『プログラム・オフィサー~助成金配分と社会的価値の創出』(牧田東一編著、発行:編集工房 球、発売:学陽書房、2007)
•『民間助成イノベーションー制度改革後の助成財団のビジョンー』(助成財団センター編、発行:助成財団センター、発売:松籟社、2007)
片山さん直筆の「評価」
【若林】
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