8/3、第2回ゼミ開催

8/3、2回目のゼミを開催しました。
今月はお盆休みもあるのでイレギュラーに第1週目の火曜日開催でした。

猛暑の中、講師に来てくださったのは、公益財団法人セゾン文化財団の片山正夫さんです。

日本の誇る“政策提言型”芸術助成財団であるセゾン文化財団の評価指針についてうかがいたかったこと、片山さんは下記プロフィールにあるとおり、早くから非営利組織のプログラム評価を研究されてきたこと、そしてエピソードに注目する定性評価も早くから提唱されていたことから、今回ぜひにと講師をお願いしました。

レクチャーの内容は、ゼミ生がレポートしてくださいますので、まずは開催報告まで!  

【第2回評価ゼミ】
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■日時:2010年8月3日(火)19-21時 
■会場:Tokyo Artpoint Project Room 302(アーツ千代田3331内)
■ゲスト講師:セゾン文化財団常務理事 片山正夫さん
■内容:「助成財団の評価」
助成金を出す側はどのような観点で評価をおこなっているのか。現場の実践と実情を学ぶ。
・19:00~20:30 片山さんレクチャー
・20:30~21:00 質疑・応答、ディスカッション
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■講師プロフィール
片山正夫 (かたやま まさお) 公益財団法人セゾン文化財団常務理事
1958年兵庫県生まれ。一橋大学法学部卒業後、(株)西武百貨店文化事業部を経て89年(財)セゾン文化財団事務局長に就任。2003年より常務理事。94~95年、米国ジョンズホプキンス大学公共政策研究所シニアフェローとして、非営利組織のプログラム評価を研究。東京藝術大学、慶應義塾大学(大学院)、学習院女子大学での非常勤講師のほか、(公財)公益法人協会、(公財)助成財団センター、アートネットワークジャパン理事、市民社会創造ファンド運営委員、東京都芸術文化評議会専門委員、国際交流基金「評価に関する有識者委員会」委員、トーキョーワンダーサイト運営諮問委員、(学)国立学園監事等を務める。公益法人協会では法制委員会委員長として公益法人の法制・税制に関する提言活動を行っている。著書に『NPO基礎講座』『プログラム・オフィサー』『民間助成イノベーション』(いずれも共著)等。

■配布資料
•レジュメ「助成財団の評価」
•公益財団法人セゾン文化財団について
•「viewpoint第50号を迎えて」片山正夫(『viewpoint第50号』、セゾン文化財団、2007)
※ゼミ配布:セルフリサーチ資料
•『2008 鳥の演劇祭 評価報告書』(2009、NPO法人鳥の劇場/鳥取大学地域学部附属芸術文化センター)
•『2008 鳥の演劇祭 活動報告書』(2009、NPO法人鳥の劇場)

■参考文献・資料
•『財団法人セゾン文化財団2006年度事業報告書』(セゾン文化財団、2007)
•『プログラム・オフィサー~助成金配分と社会的価値の創出』(牧田東一編著、発行:編集工房 球、発売:学陽書房、2007)
•『民間助成イノベーションー制度改革後の助成財団のビジョンー』(助成財団センター編、発行:助成財団センター、発売:松籟社、2007)



















片山さん直筆の「評価」


【若林】

1 件のコメント:

  1. RA佐藤さんの「おさらいツイート」をここに保管。
    ・おとといの第2回目のゼミのゲスト,片山さんのレクチャーも評価を考えるポイントが盛りだくさんでした。当日メモから、ちょっとした振り返りを。
    ・ゲストはセゾン文化財団の片山正夫さんでした。セゾン文化財団は助成財団。http://www.saison.or.jp/ 助成財団はミッションが起点となり、新しいことを世に問うたり、政策的に自由度の高い活動ができるそうです。
    ・レクチャー後半はセゾン文化財団を事例として登場しましたが、前半は評価一般に関わる事柄が話の中心となりました。ついつい、メモりたくなる言葉が沢山登場しました。
    ・たとえば「芸術が評価になじまないのは、システム的な評価になじまない」ということ。システムとは「定式や手続きがあること」を指します。
    ・評価には1)改善するため、2)説明するため、という2つの目的があります。2は相手がいることが重要になります。相手にあわせて変えることが大事になります。
    ・評価も多様。実施タイミングだけでも「事前評価」「期中評価」「事後評価」があります。期中は軌道修正のために行ないます。料理ならば期中評価はコックさんの味見、事後評価は料理をお客さんに出した後の評価になります(←この例え、分かりやすかったです!)。
    ・評価は比較対象がないとやりにくい。比較するならば、ひとつは「似た他人」、もしくは「過去の自分」(変化の推移)が必要になります。実際は前者はなかなか設定しづらく、後者を使うことが多くなってます。
    ・セゾン文化財団では、成果の計測に助成対象者の自己評価、サイト・ヴィジット(現場を見にいく)、助成対象者とのミーティング、外部評価委員によるレヴューなどを行っているそうです。
    ・興味深かったのは「外部評価委員によるレヴュー」です。助成対象者の作品の評価や影響力の変化を見るため(言語化するため)、作品ごとに外部評価委員(若手批評家や博士課程の院生など)がレヴューを行っているそうです。
    ・また、助成対象者だけでなく、助成しなかったアーティストの評価を行なうことから、自分たちの判断を検証することも行っているそうです。
    ・「エピソード評価」についても触れられました。いいプログラムには、いいエピソードが必ずある(いいプログラムオフィサーも同様に)。当日は具体的なエピソードも話題になりました。
    ・(エピソード評価については「参考文献・資料」のメセナ協議会関連の資料をチェック!!)http://evasemi.blogspot.com/p/blog-page_03.html
    ・評価の注意点(1)事後評価の指標は後から決めてはいけない。このプログラムはどういう評価をのぞんでいるのか、を事前に考えておく。
    ・評価の注意点(2)評価のオーディエンスを巻きこんでおく。「上の人は分からないから・・・」と言うのではなく、事前に話をしておくとけっこう理解してくれる(「評価できないこと」も含めて)。
    ・評価の注意点(3)個々のプロジェクトよりも一連のプログラムで評価できるようにしておく。そうすると時間の幅でどういう風に変化したのか、も見れる。
    ・レクチャーの最後は片山さんより「厳密に個々のプログラムを評価していくよりは、支援する主体を増やしていくほうが、全体の文化政策のデザインとしては大事になってくるのではないか」というコメントで締めくくられました。
    ・質疑応答では、セゾン文化財団の助成方式だけでなく、公益法人制度やその認定における評価、海外の動向などへも話題は広がりました。

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